理事長挨拶

子どものこころに寄りそうために  -電話以外のツールの模索-



 

チャイルドラインは18歳までの子ども専用の電話です。日本での発足は1998年、3年後の2001年に私たちの「チャイルドラインむさしの」は活動を始め、現在では、40都道府県70団体が連携しフリーダイヤルで毎日子どもからの電話を受けるようになりました。
私たちは4つの約束(・ヒミツはまもる・どんなことも一緒に考える・名まえは言わなくていい・切りたいときには、電話を切っていい)をして、子どものこころに寄りそって気持ちを聴くことで子どもを支えてきました。けれども17年の活動を続けるうちに、電話だけでは子どもの気持ちを受け止められなくなってきました。
ひとつは固定電話の保有状況の低下です。携帯電話をまだ持たない子どもたちには電話が遠い存在になっているようです。実際に低学年の子どもからの電話はとても少なくなり、「誰にも言えない思いを一人が抱えていないだろうか」と心配するばかりでいます。
もう一つは、話し言葉よりメールなどの文字の方が、コミュニケーションを交わしやすい子どもが増えてきたことです。子どもに寄りそうためには、子どもが求める「電話以外のツール」の模索も必要です。私たちも、チャイルドライン支援センター(全国のチャイルドライン実施団体を支援する団体)の呼びかけで、電話に近いコミュニケーションが取れる「チャット」を1対1で進めるオンライン相談の試行に参加しました。そこでは、自分の気持ちを丁寧に文章にしていく子どもの言語表現、需要の高さに実際に触れ、文字によるコミュニケーションのあり方を深めていかなければならない課題も明らかになってきました。
もちろん私たちの活動の基本は、今までどおり電話で子どもとつながることです。匿名性の安心の中で自分の気持ちを話し受け止められることで、自分の気持ちを落ち着かせたり、整理したり、次の一歩を一緒に考えるには、電話はとても有効なツールです。話し言葉が自分の中で育つ過程の子どもの気持ちや捉えようのない思いや不安は、直接の電話でなければ受け止めきれません。大事なのは子どもが話しやすいツールです。子どもが希望するツールの多様性を受け入れ、これからも子どもに柔らかく寄りそっていきたいと思います。


(代表理事  保坂みどり)

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