理事長挨拶

存在を否定される子どもに対して

  子どもたちの生きにくさが深刻化する中で、私たちは『子どもの心の居場所』になることで子どもたちを支えたいと2001年に「チャイルドラインむさしの」を立ち上げました。それから11年、多くの方々にご理解ご支援をいただきましてここまで来られましたことを深く感謝申し上げます。
  ご記憶にあるでしょうが1986年、あてになるおとなにめぐり合うこともなく、未来と引き換えに生き地獄からの脱出を図らなければならなかった中野富士見中の鹿川君の自死のことを。それから四半世紀経った2011年に大津での事件が起こってしまいました。この間、何人の子どもが尊い命をもって、存在と尊厳を否定する行為に抗議をしてきたことでしょうか。その死をもっての抗議を「なかったこと」にしようとするおとなの在り方にも怒りを持ちますが、繰り返してはならない、と思いながら四半世紀を過ごしてしまった私たちはどうだったのでしょう。
  子どもの感性はおとな以上であること、しかし、経験も語彙も選択肢も少ないことを踏まえながら、話される言葉の意味の奥にある子どもの気持ちを、私たちは受けとめたいと思います。そのためには、自らが当然の価値、道理と思っていることも問い返しながら、「子どもの気持ちをこのように受けとめて話したが、これでよかっただろうか、伝わっただろうか」と振り返り、私たちの人権感覚を耕し続けていきたいと思っています。

(代表理事 保坂みどり)

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